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医療の「翻訳家」を目指して

医療ジャーナリスト 市川衛です。医療・健康の難しい話を、もっとやさしく、もっと深く。

Welqさんのこととか、いま起きている色々なことを一過性にしないために

医療ジャーナリズム論

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まさか、と思うほどに、ここ1週間で話題になってしまいました。

医療・健康系の、あのキュレーションメディアのこと。

 

記事の引用と盗用のギリギリを組織的に狙ったこととか、監修がついていなかったことなど、既に指摘されている問題点はまさにその通りだと思いますし、ぜひ当該企業には反省と改善を進めていただきたいと思っています。

 

ただ一方で、「なぜ、このメディアがそれほどまでに支持されたのか?」ということを考えた場合、単にSEOが上手だったからだけではないと思うんです。

 

私が近しい人たちとこの問題について話したときに、Welqの記事は問題があったことを理解し怒りを覚えつつも、「でも・・・、記事自体はわかりやすかったんだけどね」という声を少なからず聴く機会がありました。

キュレーションメディアが支持される背景として「ユーザーがどんな情報を求めているか」「その情報は、ユーザーから見た場合に理解したり、共感したりできるものなのか?」という点にこだわっている、という部分はあると思うんです。

 

「情報の非対称性」という言葉があります。

医療専門家(医師や看護師、薬剤師など)は、それがそもそも資格を求められる仕事ですから、非常に多くの知識や経験を持っています。

一方で、私たち一般の人間は、それぞれの分野でプロフェッショナルである人でも、いざ病気になったときには、その病気自体の知識や経験があるわけではありません。

 

医療を含めた何らかのサービスをやり取りする際に、サービス提供側と受益者側の知識に偏りがあると、情報が豊富な側(この場合だと医療サービス提供者)に圧倒的に有利な状況が生まれます。

ある意味では仕方のないことですが、それが行き過ぎると、ときに問題を生んでしまうこともあります。(患者にとって最適な決断ができなくなる、利益相反のもとになる、など)

 

そこでいま医療の分野においては、医療専門職と患者側の「情報の非対称性」をどうしたら減らせるのか、というのが世界的なトピックになり、熱い議論が行われている最中なわけです。

 

だからこそ今回の事態を、「けしからん一部メディアの問題」とするのではもったいないと思います。

 

今回の事態を通して、「わかりやすく」「ユーザー目線でお役に立つ」情報へのニーズが、少なくとも医療の世界では強く存在することが浮き彫りになったわけですから、そのニーズを受け止めつつ、いかに正確な情報を出していけるのか、という点を議論していくことが求められているのではないでしょうか。

 

というわけで、いま有志で開催している勉強会で、今月17日(土)に、それをみんなで考えよう!というイベントを行うことにしました。

docs.google.com

 

今回、図らずも話題になってしまったトピックに関し、前向きな問題意識を持っていらっしゃる方ならどなたでもウェルカムです。何かの課題解決に結びつくかどうかはまだ未知数ですが、ぜひご意見だけでも伺えれば幸いです。

 

しつこいですが、今回の事態を「けしからんメディアの糾弾」で終えるのではなく、「より良い情報発信の道筋」を探る場にしたいと思っております。

 

よかったらご参加くださいm(_ _)m