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医療の「翻訳家」を目指して

医療ジャーナリスト 市川衛です。医療・健康の難しい話を、もっとやさしく、もっと深く。

今年、どんな医療健康記事が読まれたか?振り返ってみました。

医療ジャーナリズム論

2016年も、もうすぐ終わりですね。今年からYahoo!個人のオーサーに加えていただき、自分の専門性である医療・健康系に関して30本余りの記事を書きました。

ほとんど読まれなかったものもあれば、有難いことに大きな反響をいただいたものもあります。年間通して振り返ると、どんな記事が関心を生むのか?ということが見えてきました。

せっかくですので、自分の記事の中で多くFB上でシェアされたもの(12月30日現在)を5つ抜き出して、その要因を考えてみました。良かったらご一読下さいm(_ _)m

 

第5位 3873シェア

bylines.news.yahoo.co.jp

今年10月、いまの日本の医療を俯瞰できるデータとして、NDBオープンデータ厚生労働省より公開されました。

記事内で書いた通り『画期的な取り組み』と個人的には思うのですが、あまりにも話題になっていなかったので、「こうやれば使えるかも!」と自分なりに考えて書いてみたものです。おかげさまで、大きな反響をいただきました。

ポイントは、なんとなく「シップって、使われすぎじゃない?」と少なからぬ人が思っていたことを、数字にして示したことだと思います。シップの消費金額が1300億円を超えているとか、その7割以上が70歳以上によって消費されているということは、自分にとっても新しい発見でした。

 

第4位 4010シェア

bylines.news.yahoo.co.jp

初めてヤフートピックに取り上げていただいた記事です。ツイッターに流れてきた話題を読んで、「本当かな?」と思って調べたら、「本当だった!」と驚いたので、自分が調べていく過程をそのまま記事にしました。

実は後日、担当の編集さんに「なんでトピックに取り上げられたのでしょう?」と聞いてみたのですが、個人的な意見と断ったうえで(ヤフーさんでは書き手を担当する編集者とトピックの採用を決める編集者を完全に分けているため)「その日が、やけに暖かくて、花粉のことが気になる日だったからではないでしょうか」ということでした。

そのことが気になる(知りたくなる)タイミングで伝える。当たり前のことですが、読んでもらう最大のポイントなのだと、と改めて気づきをもらいました。

 

第3位 5146シェア

bylines.news.yahoo.co.jp

私自身が、子供時代から大ファンだった九重親方(元横綱 千代の富士関)が亡くなった日に書いた記事です。

あれほど強く、輝いていた千代の富士さんがなぜこれほど早く亡くなったのか?理不尽な思いと悲しみを感じつつ書いたからこそ、共感を得られたのかもしれません。

もちろん感情だけで書くのは論外ですが、データだけではなく、個の感情を出して伝えることが、共感(≒シェア)を呼ぶ一つのポイントなのではないかと思います。

 

第2位 5496シェア

bylines.news.yahoo.co.jp

胃がんバリウム検診で「陽性(要注意)」とされても計算上、99%は正常であることを書いた記事です。世の中で当たり前に行われていることでも、イメージとは違う実態があることを伝えたいと思って書いたものでした。

第4位の花粉症の記事では「タイミングが重要」ということを実感したのですが、一方で、それこそ10年以上前から知られていることでも、いまの時代から見た切り口でしっかりと伝えれば、大きな反響を得られるのかもしれません。

今までは「これって新しいの?」ということを凄く気にしていたのですが、そうではなくとも、今のタイミングで気になることにフォーカスして丁寧に書けば共感を生むことはできるのではないか?と気づきをいただきました。

 

第1位 15000シェア以上

bylines.news.yahoo.co.jp

医療や健康のテーマとは少しずれる内容ですが、この1年で最も拡散した記事になりました。とはいえ、「認知症を抱えても住みやすい社会」や「世代間の断絶」など、いま個人的に気になっているテーマとも密接にかかわるものだと思い、記事を書きました。

 

きっかけは、10月~11月にかけて、テレビや新聞で「高齢ドライバー」の起こした事故が大きく報道されているのを見たことです。しかし報道では実数の上昇が伝えられるばかりで、それを論じるために必要な年齢調整件数や、世代間の比較データがないことが気になりました。

 

「じゃあせっかくだから、他の年代の人に比べて、どのくらい多いんだろう?」ということを調べてみようと思い、公開データをググってみたところ…。そこには、自分が抱いていたものと正反対のデータがありました。そのときに感じた「驚き」を、そのまま記事化したものです。

 

この記事に関しては、アップした瞬間、これまでにない勢いでFB・ツイッターでのシェアが広がっていきました。

おそらくは私と同じように、「なんとなくイメージで理解していたことを、裏切るデータが出てきた」ことに感情を動かされた方が多かったのだろうと思います。だからこそ「このことを、他の誰かにも伝えなければならない!」と思っていただいたのではないでしょうか。

 

何かのニュースが相次いでいるとき、「そうだ、そうだ!!」とか、「怖いねえ…」という感情を抱くのは当然のことです。

でもその一方で、伝える仕事をするものにとって必要なのは、ほんの1歩だけ踏み込んで疑問を持ち、もとデータ(1次情報)に当たってみること。これまた「当たり前」のことですが、改めてその重要性を認識した次第です。

 

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長々とお読みいただき、ほんとうに有難うございました。

ご共感いただいたことも、違和感を覚えられたこともあると思います。ご感想・ご指摘いただければ幸いです。

新年も、何卒宜しくお願いいたします