コクランが揺れている
署名しました。
システマティックレビューの総本山として知られるコクランが揺れています。
HPV ワクチンに対するレビュー著者の利益相反問題の追求や、副反応が過小評価されているという訴えを続けていた理事(ピーター・ゲッチェ氏)を不透明な方法で解任したことが報じられるなど、コクランの運営に疑いの目が向けられています。
冒頭にご紹介した署名運動は、本来持っていたはずの高い理念と透明性を取り戻してほしいというコクランメンバーからの訴えです。
There are four major policy issues that we would like to improve.
・Create a culture of open discussion
・Refocus on the heart of Cochrane
・ncrease the involvement of Cochrane members
・Find a better business model for Cochrane
個人的には、ずっとコクランを「適切な科学的根拠に基づいた役に立つ情報を出している」組織だと感じ、信頼してきました。
自分の記事でも、そうした組織だと紹介してきた経緯があります。
コクランの状況に関して、私は記事や署名運動など、漏れ伝わる2次情報を確認しているだけです。詳細な事情は分かりませんし、「疑惑」が本当なのかどうかも全くわかりません。
ただCochrane review は現在、高い信頼性を持つものとして様々な薬剤や手術法の選択などに世界的な影響力を持つようになっています。もしも、そのことが運営の方針を変化させている一因になっているとしたら深刻な事態です。
なおHPVワクチンの副反応に関して、 ゲッチェ氏の主張が的を射ているかどうかは議論があると思います。ただいえることは、ワクチンはそもそもメリットとデメリットが必ずあるものです。
その天秤を判断することこそがキモなので、バランスを判断するためには丁寧な議論と検証こそが必要になります。
その意味で、少なくともコクランのような理念を掲げる組織において、「ちゃんと評価されているのか?」という声が出てくることは歓迎すべき事態であるはずなのに、「異なる意見だから排除する」という態度は適切ではないと感じます。
この事態をきっかけに、コクランの活動そのものが存続の危機に直面するような状況にならないことを祈ります。