医療の「翻訳家」を目指して【市川衛】

医療・健康の難しい話を、もっとやさしく、もっと深く。

SNSでは「質の高い記事」のほうが拡散されやすくなりつつあるかもしれないという朗報と、野良エビデンスについて

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「野良エビデンス

 

いつからかこんな言葉が、ときに脳裏に浮かぶようになりました。

 

エビデンスとは、いろいろな意見がありますが多くは「根拠」と訳されています。

そして野良は、のらネコの「のら」です。

 

SNSを眺めていて、誰からか聞いた単語なのかもしれない。

飲み会のテンションで誰かが口走ったことを聞いたのかもしれない。

もしかしたら色々な言葉の切れ端をもとに、自分が勝手に思いついた言葉なのかもしれない。

 

とりあえずググってもヒットしない言葉のようです。

 

この週末、第11回日本ヘルスコミュニケーション学会学術集会 にてSNSにおける医療健康情報の拡散」についての調査結果をポスター発表しました

 

結論をざっくり言えばTwitterFacebook でどんな記事が拡散しているのかを調べてみると、きちんと根拠を調べて冷静に発信しているコンテンツの方がより拡散するような傾向が見えて来ていますよ」ということでした。

 

(詳細の資料は、仲間がメディカルジャーナリズム勉強会のHPで公開する手はずを整えていてくれているようです)

 

ぶっちゃけていえば、調査を始めた当初、私含めてメンバーの多くが予想していた結論とは正反対のものだったので、驚かされたのですが…

 

これぞ「調べてみないとわからない」知見とも思います。

「誰かの幸せのために、より確からしい情報を発信しようと頑張っている人」にとって、ちょっとでも安心材料と言うか、前向きに取り組み続けていこうと思える助けになったらいいなと思っています。

 

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で、冒頭の「野良エビデンスという言葉に戻るのですが

 

調査とか研究とかって、どこかの大学とか、研究組織に属する人たちが、その組織を代表して行うもの、というイメージがありますよね。

 

一方で、この調査は、医療者や研究者、当事者やメディア関係者など、いろんな立場にいる人が組織の枠を超えて、有志で集まって純粋なボランティア活動としてまとめたものです。「正統でない」という意味で、「野良」という言葉がふさわしいかもしれません。

 

でも人間って、どんな些細なことであっても、未知のことを調べ、それを議論し、自分たちなりに得た知見を発表するという行為に本質的な喜びを感じるものだと思うのです。

 

だから、組織ベースではなく想いをベースにして集まった人たちが手弁当でやる研究があったっていいのかもしれません。そういう形が生まれることで、アカデミアがより活性化するケースもあるかもしれません。

 

野良という言葉には「野生」というニュアンスもあります。

 

決められた道ではなく「野生」の思いで「こういうことを調べたい!」と思った人たちが調べたものって、洗練されてはいなくても、自由さと暑苦しさから生まれる迫力を持つのかもしれない、とも思います。なので、アカデミアにいま属していない人も、ほんのちょっとの勇気をもって、夏休みの自由研究的な感じで頑張ってみると楽しいかもしれません。

 

***

 

興奮のままに、エモい感じで書きなぐってごめんなさい。

 

メディカルジャーナリズム勉強会のプロジェクトとして、「いろんな組織に属する人が、みんなで知見を出し合って、学会で発表してみよう!!」と発案してくださり、本業がめちゃめちゃに忙しいなか発表内容をまとめてくれた可知健太さんに心からの感謝をささげます。

 

本当にありがとうございました!

 

下の写真1枚目左から4人目のスーツ姿のナイスガイが可知さんです

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