医療の「翻訳家」を目指して【市川衛】

医療・健康の難しい話を、もっとやさしく、もっと深く。

実名報道・匿名報道 ~より良い道のためにできることは

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Yahoo!ニュース個人で、実名匿名報道についての、古田 大輔さんの論考が公表されました。前後編です。個人的にも「やまゆり園」に関する報道で興味を持っていた分野だったので、非常に勉強になりました。

 

news.yahoo.co.jp

 

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カナダの事例はわたしは初耳でした。不勉強を恥じつつ、メディアに属する人間なら知っているべきものと思う事例です。

 

たしかにこのSNS時代、メディアが実名で報じなかったとしても、警察が実名発表すればどこかで広がっていくし、実名公表をしなかったら、憶測と不正確な情報ばかりが広がっていくでしょう。

 

それは、いま何らかの事件があるたびに、憶測ばかりの「トレンドサイト」がGoogleで軒並み高順位を席巻する現状が明らかに示しています。去年の、SNSであおり運転の「容疑者」扱いされた人のような事例が増えていくばかりだということは容易に想像できます。

 

「よりよい道」があるとすれば、警察は実名で公平に「発表」する、そしてメディアは、取材合戦に現を抜かすのではなく、適切な報道によって、遺族を傷つきや、悲しみみから「守る」立場に立つという形なのだと思います。

 

もちろん、これは理想論と批判を受けることでしょう。

しかし古田さんの指摘の通り、いま批判されているのは実名発表や実名報道そのものではなく、現行の記者クラブ制度を含めたメディアの「伝える姿勢」そのものです。

 

わたしの専門とする医療健康分野でも、著名人が亡くなるたびに「解説記事」としてメディアの取材記事、そして専門家による発信がネット・テレビ上に乱立します。
ときに、憶測にまみれていたり、プライバシーを侵害しているものも目にします。むしろ、「少なくない」と感じます。

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それをどうすれば「より良く」していけるのか。

 

答えはありません。でも、ぼんやりと感じているのは「空気」を作ることが大事なのではないかということ。

 

一時のPVだけに拘泥せず、「人」に配慮し、情報の受け手の役に立つ情報発信をしようと心がけることが「カッコいい」という空気をつくっていく。

 

そのためにも発信者同士のコミュニティとしての議論、そして発信が大事になっていくと感じています。