医療の「翻訳家」を目指して【市川衛】

医療・健康の難しい話を、もっとやさしく、もっと深く。

新型コロナウイルスと共存する時代のコンテンツ作り

新型コロナウイルスと共存する新しい時代のコンテンツ作り

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出来る範囲で、こつこつと進めています
昨日は事務局やっているONAJapanで専門家会議の武藤香織さんをお呼びして新型コロナ関連ZOOMウェビナー。メディア関係者中心に130人以上の人にお集まりいただきました。

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リアルイベントだと東京でやれば東京の人しか来れないけど、オンラインなら日本全国はもちろんNYやロンドン、カイロにデリーからも応募者があり、人脈作りもできて「あれ?これリアルよりいい部分いろいろあるかも?」とか思った次第です。


ウェビナーのホストは、アンケートやQAのウィンドウを複数確認しつつ登壇者に質問をしていくのでリアルイベントより負荷はかかるけど、事前の準備は少ないのでノウハウさえ蓄積できれば気軽にできるなあと感じます。

考えると、今後の学会や大学の講義において、こうしたスキルが必須になっていくでしょう。コロナの感染状況の推移とはまた別に、今後オンライン化が進んでいくのはもう止めようがないのかもしれません。


学会でわざわざ出張しなくなったり、東大に行くのに東京に引っ越す必要は無くなったりする時代は、すぐそこに来ている。コロナさえ耐えきれば、というのではない大きな転換点がきているのを実感します。

 

 

そして本業でも、この夏に向けて「戦争体験の伝承」の新しい形をVR空間で議論しあうワークショップという、なんだかもうどこへ行くのアナタ?というコンテンツの開発を進めています。後日、番組などの形でみなさまのところへ届けます。

 

最近、コロナのせいで夏の平和学習(沖縄・広島など)に行けない、というお声を聴きます。せっかくの機会を奪われる学生さんたちにとっても、戦争体験を伝えようと取り組み続ける人たちにとっても深刻なことです。

 

そもそも戦後75年を超えて、戦争体験の当事者のかたが少なくなり、若い人の興味が薄れるなど、戦争体験の伝承はいろいろな意味で岐路に差し掛かりつつある部分もあるのかもしれません。

 

だからこそ、制約を逆手にとって、より興味を持って「感じられる」新しい体験を作れたらいいなあと思います。もちろんこれまでの伝承も大事。だけど新しい伝え方も、必要になる。そのために仮想現実はきっと役立つはずなのだ。もちろんオンライン会議も役立つはずなのだ。

 

僕にできることは少しでしかないけど、いま一歩踏み出して新しい「伝える」形を作れれば、どうにかしてコロナ前に「戻ろう」とするよりも、1mmでも前向きな動きにつながっていくはずなのだ。
自信ないけど。やっていくしかないのだ。

 

というわけで、わたしの仮想現実世界でのアバターも作っていただきました。仮想世界での市川も、リアル市川ともどもコツコツやっていきます。

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ーー
キャンペーンの第1弾は、VR(仮想現実)空間でのオンラインワークショップの開催。 全国各地の“すずさん”を発掘しそれぞれの地域で伝えるため、各地の新聞社や博物館、 教育関係者など様々な方たちと「新しい戦争伝承」の可能性についてディスカッションします。後日、放送やHPでその様子をお届けするのでお楽しみに!

www.nhk.or.jp

超過死亡数(率)、という考え方について

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Bloombergがこんな記事を出していました

https://www.bloomberg.com/news/articles/2020-05-12/tokyo-mortality-tally-shows-no-surge-in-deaths-during-pandemic

 

東京都では3月に超過死亡が確認されなかったか、確認されたとしても欧米諸国と比べると遥かに少なかった件について伝えています。

 

新型コロナウイルスなどの新興感染症に関しては、その死亡者の数を国際的に比較するためには、超過死亡数を使うのが良いと考えられています。

よく毎日のニュースやワイドショーをにぎわす「検査により確認された死者数」は、その国の検査体制がどのくらい整備されているかとか、どんな条件を満たしたときにその感染症による死者とするかなどの要因によって影響を受けます。

一方で、死亡統計(だれかが死んだら死亡届を出す)というのは、単純でありかつ基礎的で重要なデータであるがゆえに、様々な要因による影響を受けにくいと考えられます。なので、いろいろな状況を抱える国同士を比較するには適していると考えられるのです。

で、超過死亡というのは、ざっくりいえば「例年だったらこの季節だとこのくらいの人が亡くなるはずなのに、今年、めっちゃ多かったらおかしくね?」ということです。

たとえば今月、ここ5年くらいの平均の死亡者数より数千数万人単位で多い死亡者がいたとしたら、今年に限って起きた例外的な要因≒新型コロナウイルスによるものと考えていいのじゃないか、ということです。


で、Bloombergの記事は、東京都では3月に超過死亡が確認されなかったか、確認されたとしても欧米諸国と比べると遥かに少なかった件について伝えました。

 

Bloomberg、海外メディアなのに、このスピードでこれだけ科学的に的を射た記事がかけるってのが凄いなあ。僕がマドリードやニューヨークの現状について、こんな端的に現状を示す記事を書けるか、と思うと自信ないです。


「日本では検査数が少ないから、一見感染者の数は少ないけど、謎の死者が続出しているんじゃないの???」とちょい心配になっている方がいらしたら、Google翻訳で読めますのでご一読を。

 

www.bloomberg.com

歴史的イベント:日本感染症学会ウェブセミナー

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しかし改めて思うに
今日の日本感染症学会ウェブセミナーは
歴史的なイベントだった…

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最前線にいる専門家たちが何を考えどんな行動をとっているのか、閉じたコミュニティではなく、広く公開した姿勢に敬服

そして「正しく怖がる」とはこういうことかと実感

非常に厳しい数字も多かった一方、対策を進めている人たちの顔や思いを感じ安心感をもらいました

明日からも自分にできることを着実に続けていこう

伝える職業の端くれとして、こういう情報発信のお手伝いをせねば

 

自分用のメモとしても残しておきたかったツイートをまとめていただきました。感謝。

#感染症学会COVIDウェブセミナー

togetter.com

 

良かったらご一読を

 

“パンデミック”との闘い ~感染拡大は封じ込められるか~

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CDC/ Alissa Eckert, MS; Dan Higgins, MAMS

3月22日放送のNHKスペシャル、担当しております

 

www6.nhk.or.jp

2020年3月22日(日)
午後9時00分~10時00分 NHK総合

 

パンデミックとなった新型コロナウイルス
世界で悲劇がひろがる一方で、渋谷を歩けば盛り場に若者と外国人があふれ、笑顔で酒を酌み交わしている姿が見られます。日本では思ったより患者が増えていないことが安心感を生んでいるのでしょうか。

 

でもそれは、医療や介護、行政の現場にいる人たちの必死の働きに支えられている、非常に危ういバランスなのだと、取材を進めるほどに感じます。実際に特定の地域では、感染爆発につながりかねない兆候も見えてきています。

 

政治の目線で見ると、ともすると死者や感染者はただの数字に見え、まるでシミュレーションゲームを解くように戦略を云々したくなります。一方で現場を取材すると、その数字ひとつひとつが確かな人のいのちだと実感し、マスクやアルコ―ルを求める叫びに心が痛みます。

 

長期化しつつある日々の取材のなかで膨大な情報に触れていると、正直、心のバランスを崩しそうになります。レジリエンス大事。

 

睡眠
栄養
手洗い
必要な場所では必要な感染管理
努めて笑顔でいること



 

とかいってますが、正直な心の声は「明日から世間は3連休か!いいなーー!!」だったりして😊おっといかん

 

これから3日が正念場
気を引き締めてがんばります。
良かったら見てくださいね。

テレビの前にいられなくても、PCスマホで視られます

https://plus.nhk.jp/

 

放送後一週間は見逃し配信もありますよ(^^)

もう間もなく、あと1時間くらいで3月11日

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もう間もなく、あと1時間くらいで3月11日

 

9年前の3月11日から半月くらい、いまの私が感じている気持ちがあったなと懐かしく思い出します

 

あの日、命を奪われたひと
故郷を奪われたひと

 

それを伝える立場として現場にいさせてもらったにもかかわらず、混乱し戸惑っているだけだった自分

 

この9年で、ちょっとでも状況が見える自分になれているのかどうかわかりませんが

 

あの日、あの時に取材の現場にいた人間として
この事態に、「より良く」なるための情報をコツコツお伝えしようと思います。それが、あのとき頑張っていた当事者の皆様、そして、いまも福島原発廃炉のために頑張っている人たちへの責任

どうすれば、自分の存在を消せるか

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【どうすれば、自分の存在を消せるか】

 

今日は、大尊敬する先輩、川村雄次さんの講演会に参加させていただきました。

 

川村さんは、NHKの先輩です。認知症になっても生きやすい社会を作ろうとする動きを、発信者という立場で作り上げてきた人です。

 

わたしが10年前くらいに、おこがましくも認知症の番組を作りたい!とご相談した時に、常にあたたかく、時に厳しく、指導してくださった方です。

 

「わたしは、いまだ川村さんのような、本当の意味で社会をちょっとでも『より良く』動かすようなことを何もできていないんです。どうしたらできるのでしょうか😭」

 

つい会場で、そう質問してしまったときに、川村さんはこう答えてくださいました。

 

「どうしたら、自分の存在を消せるかということです。参加者の人たちが、みなさんの中にもともとあった、こういうことがやりたいな、できたらいいなということを深めて形にしていけるお手伝いをするということ」

(上記は川村さんの発言そのものではありません。私の感じたことの要約です)

 

・・・

 

しびれました。自分に絶対的に足りていないことを思い知らされました。

 

きょうはずっと発信の内容を尊敬していた丹野智文さんとあえて、友達にもなってもらえて幸せな日であったです。

 

もう不惑すぎてけっこう経ってしまったし、自分にできることをちょっとでもやれるよう、がんばります。がんばる。

社会運動はどうやって起こすか

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Twitterのフォロワーさんに久しぶりに思い出させてもらった

TED伝説のプレゼン「社会運動はどうやって起こすか」

 

www.ted.com

 

4年前のまさにいまごろ、スタンフォード大学で参加したワークショップでこの動画を見せられ、衝撃を受けた。

 

別にそれだけがきっかけではないけれど、このころからでした。Yahoo!書いたり、SNSを頑張ったり、コミュニティを主催したり。「まっとうなサラリーマン」から見れば眉をひそめられてしまうような「変態活動」に身を染めてしまうのは。

 

ぼくはどっちかというと、「最初に裸で踊るバカ」なのかもしれない。だからこそ、組織の内や外で、バカの熱狂に理解を示してくれた、最初のフォロワーたちのことはぜったいに忘れない。