医療の「翻訳家」を目指して【市川衛】

医療・健康の難しい話を、もっとやさしく、もっと深く。

放送批評懇談会セミナー2020登壇してきました

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昨日の放送批評懇談会セミナー2020
「科学の伝え方」
おかげさまで盛り上がりましたーー

 


ステキなスタジオでの配信。ホストは博報堂DYメディアパートナーズ メディア環境研究所 上席研究員の 新美 妙子 さま 

 

そして聴衆には私なんぞのミジンコが及びもつかぬ重鎮たち。。。というわけで緊張すべきところですが、新美さんのおかげで、めっちゃ楽しく話させていただきました。
事務局として心配りくださった 中島 好登 さま本当にありがとうございました。

 

ざんねんながらアーカイブ公開はないということなので、調子に乗って質疑応答の時にお話しした内容をちょっとだけ記します。こんな偉そうなこと言いやがって!と思われた方がいらしたらごめんなさい。。。。

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Q コロナの報道に関して、芸能人や政治家がコメンテーターとして意見をすることをどう思いますか?
A 一般的に、同じ業界の専門家だけで議論をすると、どうしても偏りが生まれると思います。その意味で、多様な立場の人が話しあうことはとても意味があると思います。その前提で、口角泡を飛ばしてデスマッチしたほうが番組的に面白いのは制作者として心から理解していますが、できれば対立構造ではなく、お互いに違う意見を議論しつくしたうえで止揚し、前向きな結論が生まれるよう司会者の方には取り組んでいただけたらと願います。難しいことだと思いますが。

 
Q ワクチンの有効性が95%と報じられました。どのように見ていますか?
A 私の知る限り、データは製薬企業によるプレスリリースの形で出されています。第3者によるチェックを十分に受けているのかわかりません。その意味で、ワクチンを製造販売する側にとって都合の良いデータだけが選抜され、例えば安全性の問題など、都合の悪いものは目をつぶられている可能性があるなと思っています。

 

また、コロナのワクチンは短期間で数億人単位の人に接種することを期待されていますが、それを実現するには難易度の高いオペレーションが求められます。たとえばmRNAワクチンは非常に低い温度で保管しなければならないとされています。おそらく治験が行われたのは、そうした環境を実現できる設備をもつ大病院などだと思います。しかし実際に多数の人にうつとなれば、僻地に住む人のところまで、低温を維持したまま運び、質を保ったまま接種しなければなりません。その過程で品質が劣化していれば、望む効果は得られなくなります。

 

現段階の個人的な認識を聞かれれば、「この短期間でワクチンを開発に結び付けた関係者の努力には心から敬服します。ワクチンには少なくとも一定の人を、病から防ぐ効果はあると期待しています。しかし、試験は理想的な環境で行われますが、実地ではそれよりはるかに複雑な要素が絡みますので、95%の有効性を実現できるかについては未知数であり、過剰な期待はしないほうが良いと思います。また、安全性で問題が起きないかは慎重に検討されるべきと思います」となります。

 


Q テレビでマウスガードやマスクなしフェイスシールドを付けて会話する出演者を見ることがあります。これについて、どう思っていますか?
A こういうことを言うとまた嫌われると思いますが、率直に申し上げて問題だと思います。その番組を見て、「これでいいんだ」と偽りの安心感を持つ人が必ず現れるからです。

また一方で、きちんと距離をとっていて、換気がしっかりしているテレビスタジオで、わざわざマウスガードやフェイスシールドをしているケースも見かけられます。これは、意味のない過剰な対策をしなければ「けしからん」という空気を醸成しかねません。いずれにせよ、視聴者のかたを幸せにすることにつながらないと思っています。