医療の「翻訳家」を目指して【医療ジャーナリスト 市川衛】

医療・健康の難しい話を、もっとやさしく、もっと深く。

2017年振り返り!「マジメなのにバズる」情報発信のコツとは?

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10月5日・グローバル専門家会合

今年もお世話になりました

2017年も、もう終わりですねー。

年の暮れ、今年のカレンダーを見返してみると、本当にいろいろあったなと感慨深いです。いくつか今年のトピックをまとめてみたので、よかったら読んでみてください。

 

1)「マジメなのにバズる」情報発信の方法とは

2016年から引き続いてのテーマとなりますが、今年も「内容はマジメなのにバズる」情報発信の方法とは何か?について試行錯誤した1年でした。

6月にNHKスペシャルで特集した「睡眠負債」が大きな反響をいただき、流行語大賞のトップ10に名を連ねたことは、ひとつの成功例といえると思っています。

流行語大賞ノミネートの「うつヌケ」「睡眠負債」「ワンオペ育児」って何? : スポーツ報知

睡眠不足が蓄積されて、心身に悪影響を及ぼすことを意味する。もともと欧米の研究者が提唱していたが、6月にNHKの報道番組で取り上げられて広まったとされる。睡眠不足を感じていなくても、わずかに足りない睡眠時間が積み重なることで、病気のリスクが高まるという。

 睡眠教育セミナーなどを開催している日本眠育普及協会の橋爪あき代表は「日本は世界一の短眠国家」と指摘。「今回のノミネートで、睡眠に無関心だった社会がやっと関心を持つきっかけになる」と評価した。

この番組では、ヤフーニュース特集さんに協力していただき、放送前日に記事を配信し、それがツイッターのトレンド化した直後に生放送でテレビ番組を出しました。

 

NHKとヤフーニュース、そしてツイッターという、リーチする年代が全く違う複数のメディアで情報が拡散したことが、「睡眠負債」というワードの認知につながったと考えています。

 

※もちろん、わたしの番組や記事が果たした役割はパズルのピースのひとつに過ぎませんし、睡眠負債というワードの強さや、働き方改革が叫ばれはじめた時期というタイミングの良さもかかわっていたと思います。

www.nhk.or.jp

news.yahoo.co.jp

 

もうひとつ、異なるメディア間で情報が出る「タイミング」が重要ということを感じさせる出来事が、6月に出した「注文をまちがえる料理店」の取材記事でした。

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9月の本イベントのときの様子

 

「注文をまちがえる料理店」について、ご存知のない方は、よかったら下記の記事を読んでみてください。

news.yahoo.co.jp

forbesjapan.com

記事を書いたきっかけは、関係者限定のプレオープンのお誘いを受けて訪ねたこと。

会場をつつむあったかな雰囲気に魅了され記事を書くことを決断。認知症を抱える当事者のかたの当日の「挑戦」の様子をまとめたところ、すぐにツイッターフェイスブックなどで想像を超える拡散が始まりました。

 

あれよあれよという間に、ツイッターでのトレンドワードに名を連ね、フェイスブックでのシェアは6万5千を超えました。端的に言って「バズった」わけです。

 

反響は国内にとどまらず、アメリカ・イギリス・ドイツ・オーストラリアなどのメディアから記事の翻訳や、利用した写真の借用を求めるメッセージがFB経由で文字通り殺到しました。下記に、海外の記事の一例を挙げてみます。

metro.co.uk

www.sbs.com.au

どうしてここまでバズったのか?

 

もちろん取り組みそのもののコンセプトや内容が、文化や人種の壁を越えて広く共感を持って受け入れられたことが最大のポイントであることは間違いありません。

そして手前味噌ですが、記事を書く際に写真を多用し、読者が「自分も一緒に体験している」風に感じられるように意識したこともポイントではなかったかと思います。

 

ただその後、いろいろな人と議論した結果としても、「奇跡的なタイミング」がひとつの要素としてあったことは否定できないのかなと思っています。

上記の工藤瑞穂さんのツイートは、注文をまちがえる料理店の拡散に大きな役割を果たしたと思われます。投稿直後から爆発的にリツイート&いいねされ、最終的に8万2千ツイートと16万ほどのいいねを得ました。

 

この工藤さんのツイートが投稿されたタイミングと、わたしの記事が出たタイミングは偶然にも6月4日、ほとんど同時でした。

 

そして内々のプレイベントとして企画された「注文をまちがえる料理店」は、その日までワードそのものが世の中に存在していなかった状態だったため、記事の公開直後から、Googleなど検索サイトで調べると1番に表示される状態でした。

 

推測ですが当日、次のようなサイクルが起きたのだと思います。

 

インフルエンサーのツイートにより、フォロワーの方が興味を持つ」

「しかしこの時点で、どんな内容かはわからない」

「グーグルなどで検索する」

「記事が表示される」

「内容を把握する」

「SNSに戻って、自分の知り合いに拡散する」

 

これ全く狙ったものではなく、単に偶然なのですが、奇跡のようなタイミングがぴったりはまったことで、バズにつながったのかなと。。。思っています。

なかなか狙ってできるものではないですが、「何」を「だれに」届けるかという視点だけではなく、「いつ」そして「だれと」届けるかという視点も大切になっていくなという学びをいただいた経験でした。

 

※ついでにですが、4-5月にダイエットをした顛末をブログ記事にしたらプチバズってラインニュースにのっちゃったりもしました。これもまた面白い経験。

www.huffingtonpost.jp

 

2)メディアの人間がヘルスケア・医療政策とどう関わるか

3月にはザルツブルグでヘルスケアデータの共有に関する国際セミナーに参加。10月には日本医療政策機構のグローバル専門家会合のラウンドテーブルに呼んでいただくなど「メディアの人間の立場から、ヘルスケアや医療政策にどう関わるか」について考えることの多い年でした。

 

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6月・ザルツブルググローバルセミナー

 

www.hgpi.org

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10月・グローバル専門家会合

 

ヘルスケアの分野と一言にいっても、当事者・医療者・企業関係者・行政関係者など本当に様々なステークホルダーが関わっています。そしてもちろん、ヘルスケアは誰にでも関係してくるものですから、病気を抱えていない人も含めたすべての国民がステークホルダーとも言えます。

 

さまざまな立場・リテラシーの人がいる中で、その間の情報がうまく伝わらずに、本当ならみんな同じ方向を目指しているのに、摩擦や衝突が起きることも有ります。

 

メディアの役割として、情報伝達をより円滑にいくよう「翻訳」して届けることで、ステークホルダー間の理解を深め、よりスムーズに課題解決が進むようにお役に立つ、というのもあるのではないか?と、改めて意識するようになりました。

 

そこから考えていくと、今後のメディアの人間は「自分はテレビの人間」「ネット人間」と垣根をつくるのではなく、この情報を「誰に」届けたいのか?を出発点として利用するメディア(テレビなのか?ネットなのか?書籍・講演なのか?)も、文体・演出も柔軟に考えていく必要があるということかもしれません。2018年は、より広い視野で今後の自分の仕事を考えていく1年にしたいと思っています。

 

 

3)医療健康情報の発信者コミュニティを作りたい

 「医療健康情報の発信者のコミュニティを作りたい!」ということで2016年に、勢いで作ってしまった団体。

おもにFBのグループページを中心に活動しているのですが、最初は数十人から始まったコミュニティ、この年末に500人を超えました。これもまた自分のなかでは大ニュース。2018年もイベントの開催のほか、医療健康情報の発信者に役立つ教材・リソース作りなんかも進めていければと思っております。

 

入会・退会すべて自由です。

もしご興味がある方がいらしたら下記のページから詳細をご覧ください。

mamoruichikawa.hatenablog.com

 

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2017年忘年会の様子

 

2018年も、何とぞ宜しくお願いいたします!!