医療の「翻訳家」を目指して【市川衛】

医療・健康の難しい話を、もっとやさしく、もっと深く。

オンラインセミナー登壇【NEJM論文著者に聞く 投稿・掲載のリアル】

市川 衛さんを含め3人、立っている人、テキストの画像のようです

 

【The New England Journal of Medicine論文著者に聞く NEJMへの投稿・掲載のリアル】

 

3月30日、南江堂さんに依頼され、すっごい企画のモデレーターを拝命しました。

 

世界でもっとも権威ある週刊総合医学雑誌のひとつ、The New England Journal of Medicine(NEJM)。

 NEJMに論文が掲載されることは医学研究者にとって大きな出来事であり続けています。しかし、日本人による論文掲載数は年間でも数本程度であり、きわめて少ない現状です。

 

この会では、2020~2021年に論文が掲載された奥村謙先生と河野 隆志先生に研究内容のご紹介をいただき、会場の質問(ZOOMですが)を合わせて、投稿のポイントや裏話を聞いていきました。モデレーター冥利に尽きる時間であった。。。。

 

NEJMの論文。。。というと、とっつきにくそうにも感じてしまいますが、内容をちゃんと読み込むと、その示すところはとってもエキサイティング。

ぜひ、読んでみてください。

 

www.ncc.go.jp

 

下記は3月30日の内容

■日時
2021年3月30日(火)18:00~19:30

■ 講演者
- 奥村 謙 氏(済生会熊本病院循環器内科不整脈先端治療部門 最高技術顧問)
- 河野 隆志 氏(国立がん研究センター研究所 ゲノム生物学研究分野 分野長)
- <モデレーター>市川 衛 氏(医療の「翻訳家」/READYFOR(株)室長/(社)メディカルジャーナリズム勉強会代表/広島大学医学部客員准教授)

■参加費
無料

NHK時代の仕事が、論文掲載されました

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NHK時代に制作した、NHKスペシャル睡眠負債が危ない」でハイブリッドキャストを利用して収集させていただいたデータを利用した論文がInternational Journal of Environmental Research and Public Health誌に掲載されました。

 

良かったらご一読くださいませ
オープンアクセスで、下記より無料でご覧いただけます😊

 

www.mdpi.com

 

番組とネットを連動し、30万人以上の方に記入いただいた大規模データを解析し、日本人の(当時の)睡眠時間の短さなどを実証した内容になっております。

 

わたしも共同研究者に入れていただいております。(NHK退職してしまったタイミングなのですが)5年がかりの論文なので、所属がNHKになってしまっている。。。まあ、このくらいは懐の深い我がふるさと、きっと許してもらえることでしょう
(もちろん、データ提供などについては倫理審査委員会のチェックのもと、NHKと研究を実施した角谷先生が所属している滋賀医科大学との間で秘密保持契約を結んだうえで、完全に匿名化されたデータを研究目的で提供しました。)

こういう研究が世の中にのこるのはありがたいことですなあ。


メディアとアカデミアの連携、形や規模が変わっても、これからも続けていきたい。

3月2日(火)20:00~  #コロナ後遺症 テーマにオンラインイベントを行います

3月2日(火)20:00~  #コロナ後遺症 をテーマにオンラインイベントを行います。

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いま当事者コミュニティを主催されている「なつさん(仮名)」が、長引くコロナの症状を抱える人たちが感じておられる思いを語ってくださいます。

そして、当事者支援やコロナ対策に関わっている医療者・研究者のみなさまが集まってくださいました。

こうした語りの場がオンラインで公開できるのも、皮肉なようですがコロナで進んだ環境のお陰かもしれません。どのような支えが必要とされているのか、考えたいと思っております。

今回のテーマは「対話」です。ぜひ事前の質問や、配信時のコメントをお願いします。みなさまと一緒に作り上げ、考えていきたいです。

申し込みフォームはこちらです
https://forms.gle/XeFVNu6erMtZShNJ8

 

|出演者
ゲスト:
・なつさん(仮名 コロナ後遺症当事者|当事者コミュニティ主催)
・秋本 可愛さん(コロナ後遺症当事者)
・小坂 健さん東北大学教授)
・宮田 裕章さん(慶応大学 教授)
細田 満和子さん(星槎大学 副学長)
・原田奈穂子さん(宮崎大学教授)


モデレーター:
市川 衛(READYFOR 室長/医療の「翻訳家」/広島大学医学部客員准教授)

2月8日(月)20時ー21時に無料イベント 「コロナ後遺症・長引く症状と心の悩みにどう応えるか」

 

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2月8日(月)20時ー21時に無料イベントやります
「コロナ後遺症・長引く症状と心の悩みにどう応えるか」

 

【概要】
「コロナ後遺症に悩む人たちの当事者コミュニティを作りたい」いま、動き出している人たちがいます。
コロナ後遺症を抱える当事者として、KAIGO LEADERSの 秋本 可愛 さんが、長引く症状の実際をお話しくださいます。また、コロナ関連の支援を続ける専門家 小坂 健さんと 原田奈穂子 さんをお呼びし、イギリスなどで進む、後遺症を抱える人同士がクローズドな場で語り合うコミュニティの可能性について考えます。

 

わたしはいま、コロナの影響を受けた人を支える団体を支援する コロナSOS基金 に関わっています。いただいたお金を使って、どんな活動を支援していきたいと思っているのか、お伝えできればと思っています。

 

よかったらご参加を!

 

▼お申し込みフォーム▼

forms.gle

 

【登壇者】
・秋本 可愛(新型コロナ後遺症当事者)
・小坂 健(東北大学教授・医師 Wellbeing Community Designer)
・原田 奈穂子(宮崎大学医学部精神看護学領域 教授)
聞き手 市川衛(医療の「翻訳家」・READYFOR(株)室長)

 

【参加費】
無料

 

【詳しい内容】
「コロナ後遺症」、すなわち新型コロナウイルス感染症にかかり、回復した後でも長引く症状。これまでの報告では、新型コロナに感染した人のうち3人に1人が、何らかの長引く症状を抱えているとも言います。すでに日本で38万人が感染しているなか、多数の人が悩みを抱えていると推測されますが、その実態はいまだ、よくわかっていません。

厚労省クラスター対策班の一員として関わってきた小坂健教授(本イベントゲスト)によれば、イギリスなど海外では、後遺症を抱える人同士が悩みをクローズドな場で語り合うオンラインコミュニティが成果を挙げていると言います。日本でも同様な取り組みができないか、研究者を主体とした模索が始まっています。

今回は、コロナに感染後、長引く嗅覚や味覚障害を抱える当事者をお呼びし、症状の実際や、支援の可能性・課題などを考えます。 

 

【ご報告】市川・NHK卒業します

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暮れも押し詰まったところでの報告で恐縮ですが、年明け1月31日をもってNHKを退職することに致しました。

もちろん(?)仕事がイヤになったとか問題を起こした…というわけではなく!!前向き円満退職です(ここ大事)

 

来年2月1日からは、主にクラウドファンディング事業を営んでいる、株式企業READYFORに所属します。

readyfor.jp


思えばNHKに入局して20年。。。
何もできない自分に仕事を与え、様々な経験で育て、「伝える」という一生をかけて突き詰めたいスキルへの道を拓いてくれた組織。感謝しても感謝しきれません。

ためしてガッテン」で、誰かを1mmでも幸せにできるコンテンツを作る楽しさと難しさを叩きこまれ

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NHKスペシャルで、世界を取材する醍醐味を知りました。

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チェルノブイリ原発の取材中、原発労働者の別荘(ダーチャ)で誕生日を祝ってもらった夜のことは忘れられません。

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2016年にスタンフォード大学へ客員研究員として派遣いただいたことで、コミュニティ運営やデジタルメディア活用の重要性を知ったことは、現在につながる大きな学びでした。

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本当に仕事環境にも周囲にも恵まれ、幸せばかりの協会人生。マジメに数か月前まで転職なんて1ミリも考えてなかったのですが、、、


READYFORのCEOである米良はるかさんから、思いがけず「一緒にやりませんか?」とお誘いをいただいたとき、自然に「あれ、そういう人生もありうるのかも?」と感じてしまいました。

 

正直、いま安定し恵まれた環境にいて、それを変えることはリスクです。メディアしか知らない自分が、事業の世界で通用するかもわからない。わざわざコロナ禍のいま転職しなくても・・・とも思います。

 

でも、自分の心に正直に問うてみたとき「新しい世界で、これまではできなかったプロジェクトに挑戦してみたい」というワクワク感が上回りました😊

 

こんな自分勝手な理由にもかかわらず、NHKの上司、同僚、後輩みんな応援してくださったばかりか、「職員という形ではなくなっても、今後も仕事として関り続けて欲しい」とお声がけくださる人までいて。。。本当に、涙が出るほど有難いです。

 

 

READYFORは株式上場前の、正社員100人ほどのベンチャー企業です。職員数10,000人を超えるNHKからすると、100分の1の規模です。

 

お休みを使って、なんどかオンラインなどでメンバーのみなさんと話させていただいていますが、考え方もシステムも、そしてスピード感もNHKとは全く違うことを痛感します(どちらが良い、悪いではなく)

 

社員の平均年齢はおよそ30歳。43歳の私はまごうことなき「オッサン」です。アジャストしていけるのか不安もありますが…、まあ一度きりの人生、社会人20年目の一年生として、前向きにチャレンジしていきます!

 

有難いことにREADYFORさんからは、個人としての講演・執筆・出演などのメディア活動や副業は自由にやって良い(むしろ、本業に少しでも資する可能性があるものはどんどんやってほしい)とのお話しをいただいています。

 

チェルノブイリでもご一緒した盟友・久保達彦さん(広島大学医学部公衆衛生学教授)から客員准教授職を拝命したこともあり、大学などでの教育活動(主にヘルスコミュニケーション)についても力を入れていきたいと思っています。

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2020年1月の広島大学での講義の様子

そして、主催しております「メディカルジャーナリズム勉強会」の活動も、たくさんの尊敬すべき仲間に恵まれ、むしろパワーアップして続ける予定です。

medicaljournalism.jp

 

これまでも自由にやらせていただいていましたが、さらに自由すぎる立場になる予感がしますので😅市川と何かできるかも?とひらめいた方がいらしたら、ぜひお気軽にお声がけくださいm(_ _)m

 

環境が変わっても、「医療・健康分野を中心に、『むずかしいことをやさしく、やさしいことをふかく翻訳する』ことによって、1ミリでも誰かの幸せのお役に立つ」という自分的なミッションは変わりません。

 

これまでご縁をいただいた方は、環境が変わっても一生のお付き合いだと勝手に思っております。これからも変わらぬお付き合いを頂けますと幸いです。

 

長文読んでいただきありがとうございました。
良いお年を!

放送批評懇談会セミナー2020登壇してきました

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昨日の放送批評懇談会セミナー2020
「科学の伝え方」
おかげさまで盛り上がりましたーー

 


ステキなスタジオでの配信。ホストは博報堂DYメディアパートナーズ メディア環境研究所 上席研究員の 新美 妙子 さま 

 

そして聴衆には私なんぞのミジンコが及びもつかぬ重鎮たち。。。というわけで緊張すべきところですが、新美さんのおかげで、めっちゃ楽しく話させていただきました。
事務局として心配りくださった 中島 好登 さま本当にありがとうございました。

 

ざんねんながらアーカイブ公開はないということなので、調子に乗って質疑応答の時にお話しした内容をちょっとだけ記します。こんな偉そうなこと言いやがって!と思われた方がいらしたらごめんなさい。。。。

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ーー
Q コロナの報道に関して、芸能人や政治家がコメンテーターとして意見をすることをどう思いますか?
A 一般的に、同じ業界の専門家だけで議論をすると、どうしても偏りが生まれると思います。その意味で、多様な立場の人が話しあうことはとても意味があると思います。その前提で、口角泡を飛ばしてデスマッチしたほうが番組的に面白いのは制作者として心から理解していますが、できれば対立構造ではなく、お互いに違う意見を議論しつくしたうえで止揚し、前向きな結論が生まれるよう司会者の方には取り組んでいただけたらと願います。難しいことだと思いますが。

 
Q ワクチンの有効性が95%と報じられました。どのように見ていますか?
A 私の知る限り、データは製薬企業によるプレスリリースの形で出されています。第3者によるチェックを十分に受けているのかわかりません。その意味で、ワクチンを製造販売する側にとって都合の良いデータだけが選抜され、例えば安全性の問題など、都合の悪いものは目をつぶられている可能性があるなと思っています。

 

また、コロナのワクチンは短期間で数億人単位の人に接種することを期待されていますが、それを実現するには難易度の高いオペレーションが求められます。たとえばmRNAワクチンは非常に低い温度で保管しなければならないとされています。おそらく治験が行われたのは、そうした環境を実現できる設備をもつ大病院などだと思います。しかし実際に多数の人にうつとなれば、僻地に住む人のところまで、低温を維持したまま運び、質を保ったまま接種しなければなりません。その過程で品質が劣化していれば、望む効果は得られなくなります。

 

現段階の個人的な認識を聞かれれば、「この短期間でワクチンを開発に結び付けた関係者の努力には心から敬服します。ワクチンには少なくとも一定の人を、病から防ぐ効果はあると期待しています。しかし、試験は理想的な環境で行われますが、実地ではそれよりはるかに複雑な要素が絡みますので、95%の有効性を実現できるかについては未知数であり、過剰な期待はしないほうが良いと思います。また、安全性で問題が起きないかは慎重に検討されるべきと思います」となります。

 


Q テレビでマウスガードやマスクなしフェイスシールドを付けて会話する出演者を見ることがあります。これについて、どう思っていますか?
A こういうことを言うとまた嫌われると思いますが、率直に申し上げて問題だと思います。その番組を見て、「これでいいんだ」と偽りの安心感を持つ人が必ず現れるからです。

また一方で、きちんと距離をとっていて、換気がしっかりしているテレビスタジオで、わざわざマウスガードやフェイスシールドをしているケースも見かけられます。これは、意味のない過剰な対策をしなければ「けしからん」という空気を醸成しかねません。いずれにせよ、視聴者のかたを幸せにすることにつながらないと思っています。

11月25日18時~  放送批評家懇談会セミナー2020に登壇します

【オンライン】放送批評懇談会セミナー2020「科学の伝え方~コロナ時代に求められる、知識と思考法~」 イベント画像1

 

あまりにも名誉すぎる😭機会を頂いてしまいました


11月25日18時~
放送批評家懇談会セミナー2020に登壇します

passmarket.yahoo.co.jp


テレビ番組の制作者にとって、最大の名誉のひとつに「ギャラクシー賞」という賞があります。


通常のコンクールは、テレビ局側から候補作を応募して選んでいただく、という形をとるのですが、ギャラクシー賞は、制作者として大先輩の委員のみなさまが、自ら見た番組の中で「これに賞を与えるべし!」というものを選んで賞してくださるもの。

 

その意味で、制作者的には冥利に尽きるサプライズプレゼントになるわけです。

 

わたくしのようなミジンコ制作者でも、たまたま制作した番組を賞していただいた経験もあるのですが、まあそれはそれは名誉!感動!!と思っていたわけです。何が言いたいかというと、そのギャラクシー賞を運営していらっしゃる放送批評家懇談会という組織は、私にとっての永遠の憧れ、なわけです。

 


今回、その放送批評家懇談会さんが年に1度開催されるセミナーに、登壇者としてお呼び頂きました。

 

テーマは「科学の伝え方~コロナ時代に求められる、知識と思考法」という、分不相応にもほどがある内容ですが、精一杯頑張ります。
オンラインで、無料でご参加いただけます。

 


まだ若干ながらお席があるようなので、もしよかったら、応援するつもりでご参加くださいませ。

 

【オンライン】放送批評懇談会セミナー2020「科学の伝え方~コロナ時代に求められる、知識と思考法~」 - パスマーケット

 

あー緊張する。

 

でも、このコロナ感染拡大下の大事な時に、様々なテレビ局やメディアのみなさまに「こんな気持ちで情報をお伝えしたら、視聴者/読者のお役にたてるかもよ!」ということをお伝えできる機会なんてあまりないので。。。

 

がんばります